池谷薫 (映画監督)

1958年、東京生まれ。同志社大学卒業後、12本のNHKスペシャルを含む数多くのテレビ・ドキュメンタリーを演出する。初の劇場公開作品となった映画『延安の娘』(2002年)は、文化大革命に翻弄された父娘の再会を描き、ベルリン国際映画祭など世界30数カ国で絶賛され、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー映画賞、ワン・ワールド国際人権映画祭ヴァーツラフ・ハベル特別賞ほか多数受賞。2作目の『蟻の兵隊』(2005年)は中国残留日本兵の悲劇を描き、記録的なロングランヒットとなる。3作目の『先祖になる』(2012年)は、東日本大震災で息子を失った木こりの老人がたぐいまれな人間力で自宅を再建するまでを追い、ベルリン国際映画祭エキュメニカル賞特別賞、香港国際映画祭ファイアーバード賞(グランプリ)、文化庁映画賞大賞、日本カトリック映画賞を受賞。4作目の『ルンタ』(2015年)では非暴力の闘いに込められたチベット人の心を描く。2008年から2013年まで立教大学現代心理学部映像身体学科の特任教授を務め、卒業制作としてプロデュースした『ちづる』(2011年・赤崎正和監督)は全国規模の劇場公開を果たす。2017年9月、甲南女子大学文学部メディア表現学科教授に就任。同年、神戸の元町映画館を拠点に「池谷薫ドキュメンタリー塾」を開講。塾生の中から映画制作を志す者が多数現れたのを受けて2018年2月、映像制作集団「元町プロダクション」を結成。「人間を撮る 自分を見つめる」をモットーに神戸から新しい映像文化の発信を目指す。2017年4月、兵庫県立美術館で映画4作品を集めた特集上映を開催。2日間で1000人の観客を動員する。2018年12月には世界人権宣言70周年を記念して元町映画館(神戸)シネ・ヌーボォ(大阪)と2週にわたって「池谷薫監督特集」を開催。好評を博す。著書に『蟻の兵隊 日本兵2600人 山西省残留の真相』(2007年・新潮社)、『人間を撮る ドキュメンタリーがうまれる瞬間』(2008年・平凡社・日本エッセイスト・クラブ賞受賞)ほか。

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