ドリス・ハート
![ドリス・ハート ドリス・ハート](https://satch.tv/sat2022/wp-content/uploads/actor-230px/230px-doris_hart1953.jpg)
ドリス・ハート(Doris Hart, 1925年6月20日 – 2015年5月29日)は、アメリカ・ミズーリ州セントルイス出身の女子テニス選手。第2次世界大戦の終戦直後の時代に活躍し、1940年代後半から1950年代前半にかけて、テニス4大大会の女子シングルス・女子ダブルス・混合ダブルスの3部門すべてに「キャリア・グランドスラム」を達成した名選手である。女子シングルスで総計6勝、女子ダブルスで総計14勝、混合ダブルスで総計15勝を挙げ、生涯で「35」のグランドスラム・タイトルを獲得した。幼少期に患った足の病気をものともせず、頭脳的で安定したオールラウンド・プレーヤーとして一世代をリードした。フルネームは Doris Jane Hart (ドリス・ジェーン・ハート)という。
ドリス・ハートは幼少時代に深刻な膝の感染症を患い、「このままでは身体障害者になるおそれがある」と診断されたことから、治療のために6歳からテニスを始めた。当時の医学上の診断では、彼女の病気は「小児麻痺」と言われた。(後に、この診断は誤りであると分かった。)病気の影響のため、彼女の足は“弓のように曲がり、動きがおぼつかなく見える”外見になったが、それにもめげず回復してテニス選手になることができた。早くも第2次世界大戦中の1942年、ハートは17歳で全米選手権の女子ダブルス決勝に初進出を果たす。当時の全米選手権では、マーガレット・オズボーンとルイーズ・ブラフ組が1942年から1950年まで女子ダブルス部門に「9連覇」中で、その期間中にハートは7度の女子ダブルス準優勝の壁にぶつかった。
1947年にウィンブルドン選手権の女子ダブルスで、パトリシア・トッドと組んで初優勝を飾り、ここからハートの4大大会生涯「35勝」の記録が始まった。続いて、同じトッドとのペアで1948年の全仏選手権女子ダブルスに優勝する。1949年の全豪選手権で、ハートは女子シングルスにも初優勝を飾り、地元オーストラリアのベテラン選手ナンシー・ウィン・ボルトンを破って優勝した。全豪選手権には1949年と1950年の2度しか出場しなかったが、女子シングルス優勝1949年・女子ダブルス優勝1950年・混合ダブルス2年連続優勝の記録を残している。1950年には全仏選手権の女子シングルス優勝があった。
長い間立ちはだかった大きな壁を乗り越えて、ドリス・ハートのテニス経歴が大きく開花したのは1951年に入ってからである。この年、彼女はウィンブルドン選手権の女子シングルス決勝戦でダブルス・パートナーのシャーリー・フライを 6-1, 6-0 で圧倒した。相手にわずか1ゲームしか与えず、試合時間は35分で終了した。ウィンブルドン選手権の女子シングルスでは1947年と1948年に2年連続準優勝があったため、ハートにとっては“3度目の正直”の優勝だった。この年から、ハートはウィンブルドン選手権の混合ダブルス5連覇(1951年-1955年)、全米選手権の女子ダブルス4連覇(1951年-1954年)、全米選手権の混合ダブルス5連覇(1951年-1955年)を記録し、ダブルスでも黄金期を迎えた。シングルスでは、1953年にモーリーン・コノリーが女子テニス史上初の「年間グランドスラム」を達成したが、ハートやフライたちはコノリーのライバルであった。
ドリス・ハート
|
|
基本情報 | |
---|---|
フルネーム | Doris Jane Hart |
国籍 | アメリカ合衆国 |
出身地 | 同・ミズーリ州セントルイス |
生年月日 | 1925年6月20日 |
没年月日 | 2015年5月29日(89歳没) |
死没地 | フロリダ州コーラル・ゲーブルズ |
利き手 | 右 |
殿堂入り | 1969年 |
4大大会最高成績・シングルス | |
全豪 | 優勝(1949) |
全仏 | 優勝(1950・52) |
全英 | 優勝(1951) |
全米 | 優勝(1954・55) |
優勝回数 | 6(豪1・仏2・英1・米2) |
4大大会最高成績・ダブルス | |
全豪 | 優勝(1950) |
全仏 | 優勝(1948・50-53) |
全英 | 優勝(1947・51-53) |
全米 | 優勝(1951-54) |
優勝回数 | 14(豪1・仏5・英4・米4) |
4大大会最高成績・混合ダブルス | |
全豪 | 優勝(1949・50) |
全仏 | 優勝(1951-53) |
全英 | 優勝(1951-55) |
全米 | 優勝(1951-55) |
優勝回数 | 15(豪2・仏3・英5・米5) |
反応