妙海尼

妙海尼

江戸時代前期から中期の女性。「赤穂事件」から30年以上もたった頃、赤穂浪士四十七士のひとりとして名高い「堀部安兵衛の妻」を自称し、赤穂浪士たちの眠る高輪の泉岳寺近くに庵を結び、安兵衛の墓を参拝したり、訪れた人に義士たちの話を物語ったという。人々は本物の遺族と思い込み、お布施をする人が続出したという。また、丹波国篠山藩士の佐治為綱という人物は、妙海尼を訪ねその話を『妙海語』という本にまでまとめている。しかし、安兵衛の本物の妻(堀部ほり)は、すでに肥後国熊本で死去しており、妙海尼は偽者である。その正体は堀部家の女中だったのではないかともいわれるが真相は不明。ただ、妙海尼は死去するまで安兵衛の墓を大切に守り続け、死後も泉岳寺に葬られた。妙海尼を題材にした小説に、井上ひさしの『不忠臣蔵』や柴田錬三郎の『裏返し忠臣蔵』がある。

反応