成田三樹夫

鋭い眼光が印象的な俳優。愛称は「ミッキー」。ニヒルな雰囲気とドスのきいた声から悪役を多く演じ、特に映画『仁義なき戦い』シリーズをはじめ東映実録ヤクザ映画の常連俳優として人気を集めた。また、映画『蘇る金狼』で成田が演じた権力者にへつらう管理職役について、同作で主演を務めた松田優作は「最高の悪役だ」と語っている。テレビドラマ『探偵物語』には松田優作からの依頼を受け出演、成田扮する服部刑事の「工藤ちゃーん」というセリフはドラマを代表するものとなった。勝新太郎が主演した映画『座頭一地獄旅』をはじめ時代劇への出演も多く、勝新太郎や市川雷蔵といったスター俳優の敵役を好演した。また、時代劇映画『柳生一族の陰謀』で演じた公家・烏丸少将文麿は、公家ながら恐ろしいほどの剣豪、という難しい設定の人物だったが、成田はこれを見事に演じきり強いインパクトを観客に与えた。同年、同作がテレビドラマ化した際、主演の千葉真一と成田三樹夫だけが映画版と同じ役で出演した。80年代からはコミカルな役も演じるようになり、さらに俳優としての魅力を増した。しかし、1990年4月9日、胃がんのため他界した。