長谷川一夫

二枚目俳優として絶大な人気を誇った大スター。戦前から戦後にかけて、映画、舞台、テレビにと幅広く活躍、映画『雪之丞変化』『稚児の剣法』『地獄門』や大河ドラマ『赤穂浪士』など代表作は多数。幼い頃から舞台に立ち、初代・中村雁治郎門下に入ると「林長丸」の名で活躍した。その後、大阪松竹の社長にその際立った美貌を買われ映画界に入り、1927年に松竹に入社すると芸名も「林長二郎」と改めた。映画デビュー作となった『稚児の剣法』での美剣士ぶりにより若い女性を中心に一気に多数のファンを獲得、一躍スター俳優となった。戦前、時代劇の大スターとして活躍した長谷川は、戦後もその輝きを失うことなく、1953年の『地獄門』ではカンヌ国際映画祭グランプリを受賞、海外でもその名を知られるようになった。主演映画が300本を超える映画界の大スターとして活躍した一方、歌舞伎座の舞台にも立つなど舞台俳優としての活動も多く、最晩年には宝塚歌劇『ベルサイユのばら』の演技指導も行っている。没後まもなく国民栄誉賞を贈られた。